労働基準監督署による是正勧告とは
是正勧告とは、企業の労務関係を管掌する労働基準監督署の調査により、法違反等が見つかった場合に「このように是正しなさい」と発せられる行政指導のひとつです。
調査はいつ、どのような形でくるのか
労働基準監督署の企業に対する調査のきっかけは、大きく分けて二通りあると言われています。
ひとつは、ランダムに調査に入るケースです。
三六協定(時間外労働・休日労働に関する労使協定)の特別条項付の企業や、裁量労働制を行っている企業などが目立ちます。
最近の傾向としては、長時間労働やサービス残業に対する問題に重きを置かれているので、そこで違反が報告されれば調査が繰り返し行われる事例もあります。
また、年や時期によっては調査対象の業種やテーマを絞り込み、そのテーマに沿った調査が行われる場合もあります。
もう一方は、従業員本人やその家族などから申告を受けて調査に入るケースです。
たとえば、「残業が多発しているのに残業手当が支給されない。」といったものや「毎月80時間以上の残業がある。」など、やはり長時間労働やサービス残業に対するものが多いです。
こういったケースでは比較的厳しく調査されることが多いので注意が必要です。
従業員の中に溜まった不満や不安が申告へとつながり、その申告の重要度が高かったり、頻度や回数が多くなると労働基準監督署も動き出しますので、普段から、従業員の長時間労働や労務管理に対するケアをすることが大切です。
会社と従業員の関係を正常に保つことが一番の予防となります。
調査は、事業主または労務管理者同席の下に行われます。
調査に来た労働基準監督官により、賃金台帳や出勤簿、就業規則などの社内規則など、状況に応じた書類の提示を求められます。
資料は整っているか、内容に不適切なところはないか、など細かく内容を見られ、場合によっては更なる資料の提示や詳細な説明を求められます。
調査の結果、違反が見つかった場合
前述の調査により、労働基準法等の違反が見つかると「是正勧告書」という書面が交付されます。
また、違反とまではいかないがこれを放置しておくことは違反につながると判断した場合は「指導票」が交付されます。
これらには、違反となる事項や改善すべき事項が詳細に記され、それぞれ指定された期限までに書面(「是正報告書」)にて報告をしなければなりません。
労働基準法では、違反事項に対し罰則を定めていますが、このような勧告に対して是正報告をすることで、罰則の適用はされないことがほとんどです。
ただし、労働基準監督官には司法警察官の権限があり、事案の重要度が高かったり、この報告を怠ったり、虚偽の報告を行ったりして、「悪意がある」とみなされると、書類送検という最悪の事態に陥ることがありますので、誠実に対応することが求められます。
もちろん、会社の主張や正当な反論はしましょう。
是正報告について
当ホームページ「是正勧告の対応」をご参照ください。
まとめ
是正勧告への対応も重要ですが「労働基準監督署の調査が入っても問題ない環境」を整えておくことが最も大切です。
いい就業環境を創ることにより、労務効率も改善しますので、会社にとっても大切なことです。
社労士オフィスみやざきでは、労働基準監督署の調査が入っても問題ないように、あらかじめ就業規則等の社内規程をはじめ、労使協定や労務管理方法が正当かどうかをチェックする「労務診断」「労務監査」等も行っております。
また、労働基準監督署の調査がきた場合には、その同席や是正報告書の作成、対応等も行っております。
気になることがございましたら、お気軽にご相談ください。